踏みゲーのプロe-sports化を考える


 今回はDance Dance Revolution、Pump it Up、Step Mania等のいわゆる踏みゲーと呼ばれるジャンルの音楽ゲームをe-sports化ができるかという想定を個人的にしてみるという記事を書きたいと思います。昨今ではゲームの競技化と共に賞金も出る大会もFPSゲームを中心に存在しており、いわゆるe-sportsという文化が生まれつつあります。音楽ゲームでも日本でとうとうBEMANI PRO LEAGUE が開催の狼煙を上げるなど、音楽ゲームでもe-sports化の動きが始まりつつあります。

e-sportsとは

 そもそもe-sportsの原義では、コンピューターゲームを競技性のあるスポーツとして捉えるという定義であり、この言葉の意味自身には賞金の有無は含まれないです。

 よくe-sportsはスポーツじゃない遊びだという論調もありますが、この言葉の考え方自身はゲームをだらだらプレイをするのではなく、しっかりとルールを決めて本気で相手とリザルトを競ってゲームをプレイしようという程度の意味合いだと思います。

 この言葉から考えると音楽ゲームとe-sportsの考え方は極めて相性が良いと思います。PCゲームのFPSのようにプレイヤーごとの極端な環境の違いも生まれませんし、音楽ゲームごとに決まったスコア算出され、相対的にリザルトの良し悪しを初心者から上級者まで簡単に判別することが可能です。

(正確にはAC音楽ゲームではロケーションによってコンディションが異なったり、スマホゲームでもデバイスによって違う場合がありますが、FPSほどは個人間同士のデバイスの違いが表れにくいとはいえるでしょう。)

踏みゲーのプロe-sports化の実績

 日本では踏みゲーの興行化は行われていませんが、Pump it Upでは賞金の出る大会がありました。直近で行われた公式世界大会であるWorld Pump Festival2016では、賞金総額が18000米ドルの規模で行われました。しかし、18000米ドルはあくまで賞金の総額で、しかも日本円で換算すると180万円ほどですのでこの賞金だけで生活をすることはできないでしょう。この大会の性質は興行的なものというよりは世界一位という名誉をかけての戦いです。

踏みゲーのプロe-sports化をしやすい理由

 ここからは個人的に踏みゲーがプロe-sports化しやすい理由を考察していきたいと思います。

1 踏みゲーの性質

 ここで踏みゲーの性質について考えていきたいと思います。踏みゲーは音楽ゲームの中でも特に独自の地位のゲームであると言えるでしょう。最大の特徴としてはリアルの体力を使うという点です。FPSや他の音楽ゲームでもプレイすると確かに体力を使いますが、あくまでも精神的疲労からくる肉体の倦怠感を感じているのであり、踏みゲーではダイレクトに筋肉を酷使することから他のゲームとは別次元で体力が要求されます。

 そのため、体力を使って運動をするという点ではその他esportsと比べると、多くの人に既存のスポーツのように比較的受け入れられやすいと思います。

2 スポンサーが付きやすい

 踏みゲーでは現在唯一行われた、BEMANI PROリーグと比べてもスポンサーが付く可能性が高いと言えます。日本国内で知名度に関してDance Dance Revolutionという名前は高い知名度を誇り、海外でもDDRブランドは、比較的その他の音楽ゲームと比べても高いブランド力を誇ると言えるでしょう。Pump it Upに関しては、日本では知名度が低いものの海外製の音ゲーの中ではトップクラスの知名度を誇り、海外の踏みゲーの定番と言えばこちらの機種です。

 いずれにしても、ゲームセンターにパネルを踏んで遊ぶゲームがあるというのは世界中の多くの人が知っています。その為、踏みゲーの世界大会のスポンサーというのはe-sportsの中でもかなりの大きい宣伝枠が存在すると言えるでしょう。

 さらに、踏みゲーの特徴である体力を使うというのもスポンサーをつけやすい条件と言えるでしょう。踏みゲーでは、トップ層になると体調管理や自分の使う装備もある程度こだわる人が多くなります。踏みゲーのスコアやクリアを伸ばしたいプレイヤーは最善のプレイのため、よりよい装備や体調管理を上位の選手をまねてそろえることが多いです。

 その為、スポーツブランドや飲料メーカーが踏みゲートップ層の選手とタイアップしたりすることによって、強力な宣伝を行うことが期待できます。踏みゲーのe-sports市場が大きくなればこれらの業種の大手企業もやがて無視できないものととなるでしょう。

3 ルールが明確

 踏みゲーはプレイする分にも、見る分にもルールが明確と言えるでしょう。FPSやカードゲームでは、完全に門外漢の人の場合どのような展開なのか理解できず、プレイを観戦するのにはある程度前提知識が必要ということもあります。

 しかし、音ゲーではノーツを捌いて、コンボをつないである程度スコアが高い方が優勢だということがどんな人でも理解することができます。もちろん、ある程度知識があるとよりゲームの観戦をより楽しめるというのはありますが、その他のスポーツやゲームと比べても圧倒的に観戦に必要な知識は少ないと言えるでしょう。

 また、ルールに制限をかけることに関しても、音ゲーは柔軟にコントロールできます。プレイ方法、プレイスタイル、オプションの有無などを調整することによりハンデ戦なども簡単に調整することが可能です。これは、その他のゲームでは再現できない特徴と言えるでしょう。

4 世界中に名前が知られている

 DDRやPump it Upはその他音楽ゲームに比べると、知名度が世界クラスであるため多くの人が知っています。ゲームの最大の市場である北米の音楽ゲーム事情を考えても、DDR、Pump it Up、ITGの人気を考えると踏みゲーは一定の地位を獲得しており、コアなファンが多く存在します。

 そのため、e-sportsの大会が盛んである海外でも大会を開くことができる可能性が高いので、踏みゲーの興行の極めて成功率が高いと言えます。

踏みゲーのプロe-sports化の課題点

 ここからは踏みゲーのプロe-sports化の障壁となることを、個人的に考察していきたいと思います。

1 筐体の数が少ない 筐体格差

 これは全ての踏みゲーに言えますが、筐体の数が少ないです。これは筐体の大きさや価格の面から、どうしても踏みゲーを導入できるゲームセンターが少ないという事情が大きいと言えます。そのため、踏みゲーをやりたいというプレイヤーがいても遠くのゲームセンターまで行かないといけないという手間が発生してしまいます。

 さらにこれは、比較的DDRの筐体が多い日本でさえもこの体たらくなうえ、全世界的に考えるとゲームセンターで踏みゲーをプレイすること自体が不可能な土地も存在します。これはプロe-sports化の大きな障壁と言えるでしょう。

 また、筐体の格差も存在します。DDRもPump it Upどちらも発売から20年程度たっているゲームですので旧筐体と金筐体、SD筐体とLX筐体では画面の大きさなどの基本的なスペックからや操作のUIなど微妙な差が存在するため、こちらも公平性が求められるe-sportsでは大きな障壁になります。

2 DDRの海外戦略の乏しさ

 これに関しては、Pump it UpやITGなどの踏みゲーには該当しません。

 Dance Dance Revolutionは北米でも一定の知名度を誇っており、ゲームがひしめく北米市場ではとてつもないアドバンテージと言えます。 

 また、DDRの設置も北米のラウンドワンを中心に、旧筐体だけではなく日本以外では北米のみに設置してある最新筐体である金筐体も存在します。さらには一部のエンスージアストは中古のDDR筐体を購入し、個人所有をしていたりと、北米には熱狂的なプレイヤーが少なからず存在します。

 にもかかわらず、アメリカのゲームセンターで金筐体を導入しても日本と同じように金筐体専用モードが使えなかったり、KACの予選でも極めて厳しい戦いであるのも関わらず、決勝進出枠が1つだけとかなり冷遇されていると言えるでしょう。特にKACの予選に関しては優勝者が去年の大会で出ているのにもかかわらず、チャンピオン枠と分けずに北米で1枠にしたのは、極めて残念な判断と言えます。

 また、DDRは筐体価格が世界で多く流通しているPump it Up筐体と比べると2倍近い価格であり、価格競争力が低いです。PIUよりも高いから売れないという理由だけではありませんが、少なくとも日本と違って圧倒的なブランド力を持つPump it Upを相手にするには筐体の価格を下げないと間違いなく海外では売れないと思います。

3 スポンサーが見つかっていない

 前述ではスポンサーが付きやすいと言いましたが、今のところは大会を開く資金を提供してくれるスポンサーが存在しません。これに関してはKONAMIやandamiro等の公式が働きかけないと、スポンサーが見つからないのでプレイヤー的にはどうしようもないですが、プレイヤーが踏みゲー界隈を盛り上げることができればスポンサーが付く可能性が高いとは言えます。


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