今回はノートパソコン用CPUの解説の第三回目としてこれまで説明してきたwindows10用のメインストリーム向けCPUとは少し違う、最近はやっているノートパソコンのブランド、CPUについて解説していきたいと思います。
intelとAMDの最新ノートパソコン用のCPUに関してはこちらの記事を参照してください。
AMDのノートパソコン用CPU について
ノートパソコン用のCPUの選び方2021年 3月版 AMD版
intelのノートパソコン用CPUについて
ノートパソコン用のCPUの選び方2021年 3月版 intel版
M1 macとは
ノートパソコン界隈で少し前に話題のなったこととして挙げられる事件がM1 チップ採用Macです。
M1 macを検索してみると、appleが自社製造でCPUを作った、intelのCPUを使うのを脱却して自社製造に切り替える、intel製のものよりもはるかに性能がいい、M1チップは革新的技術だなどかなりの高評価とともにappleの作ったパソコン用CPUはiphoneのように最高みたいな書き方をする記事もそれなりに多いです。
そもそも、M1チップの正体とは何でしょうか?
M1チップとはARMアーキテクチャーを使用して設計されたSoC(システムオンチップ、CPUやDRAMなどの部品を実装しシステムとして機能させている部品)です。ここで出てきたARMとはCPUの設計を専門とする会社で、Armは設計図のライセンスを各社に提供することによって利益を得ています。ここでポイントなのはArmのCPUの設計図そのままでCPUを製造することも可能ですが、設計図のライセンスを購入した各社が各自カスタムを行うことも可能です。
つまりM1チップの正体は、AppleがArmのライセンスを購入しapple独自のチューニングを行ったものです。一見すると複雑で難しいそうに思えますが、スマートフォン向けSoCではごく普通に行われていることで、同じくappleのiphoneのAシリーズや、多くのスマートフォンで採用されているSoCのスナップドラゴンシリーズ、サムスンの独自SoCのExynosも同じくArmのライセンスを購入して独自のチューニングを行っているものです。
実はappleのM1チップはiphoneの技術の延長に成り立っているものであり、Macからの進化というよりはiphoheの順当進化というほうが正しい技術です。
そのため、厳密にはパソコンで多く採用している命令セットのX86系とは違う、arm系の命令セットのためある程度、既存のパソコン用に設計されたプログラムが動作しないという恐れがあります。もちろんappleはこれを理解していますので、既存のソフトとも互換性を保てるようエミュレーターを実装しています。比較的多くのソフトで動作実証済みですので、officeが使えないyoutubeが見れないなどそのような事態にはなりえないです。
一方で、Arm系の命令セットにうつったこともあり、iphoneと同じ命令セットになったことからiphoneやipadで用に設計されたアプリも動かすことが可能になったというメリットも存在します。
M1チップの主な特徴について紹介していきます。M1チップは高効率コア4つと高性能コア4つというこれまで見てきた全部同じコアのCPUとは設計が大きく異なります。また、グラフィックも内蔵されておりグラフィック性能もGTX1050並という評価であり、内蔵グラフィックにしてはかなり性能が高いです。また、DRAMがM1チップ内に内蔵されているため増設は不可能です。
基本的にM1チップ内蔵のMacになると、もはや改造は不可能であるといってよいでしょう。
高効率コア4つと高性能コア4つというハイブリッド構成は、省エネ化に大きく貢献し性能が高いのにもかかわらずTDPが15Wという驚きの低消費電力です。これは低消費電力に定評のあるArmプロセッサーの強みもうまく働いていると思います。
またシングルスレッド性能も最高クラスであり、現状最高峰のZen3とも肉薄しています。このシングルスレッド性能にもかかわらず低消費電力であり、発熱も少ないため電池持ちが長く、今までのMacとは比較できないようです。
まさにiphoneで培った技術とノウハウを注ぎ込んだ一品といえますが、低消費電力で効率が求められるノートPCはともかくデスクトップPCは絶対的な性能が求められるので現状最強のzen3デスクトップCPUを超えられるかはまた別問題です。
総評とすると、今からMacを買うかたはとりあえずM1のほうがいいと思います。Macを使う時点でwindowsよりも自由度がなくなりますし、Mac用のintel CPUは低性能のYシリーズである場合もあるので性能は低いです。M1macはMacにしては価格も低く性能が高いという今までのapple製品からするとかなり良心的な価格であるといえるでしょう。
windowsパソコンを含めたすべてで考えると、ネットサーフィンなどの基本的な部分では全く問題がないと思いますが、主にエミュレーター部分が成熟は仕切っていないというのは事実ですのでよく吟味して考えたほうがいいと思います。あと当たり前ですが、PCゲームなどのラインナップは圧倒的にwindowsのほうが多いので、ゲームをやる方はおすすめできません。
どちらかというと低消費電力、高性能なPCというよりは超ハイスペックPC型スマートフォンという表現がM1macにはふさわしいので、できるならwin10パソコンとM1 macの二台持ちのほうがいいと思います。
個人的にはこれまでのapple製品の中でもかなり購入したい一品ではあります。
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クロームブックについて
もう一つノートパソコン界隈ではやっているものとして、クロームブックというのが挙げられます。
クロームブックとは簡潔に言うと、OSがクロームOSであるノートパソコンです。windowsやMacではありません。しかし、クロームOSはLinuxをベースとして開発されたものであり、ついでにいうとMacはUNIXをベースとして開発されているものであり、LinuxはUNIXのパクリもといオマージュですので、MacとクロームOSは遠縁の親戚関係ではあります。つまりクロームOSは広義のLinuxですのでubuntuなどと素性は比較的近いです。というより昔のクロームOSはubuntuベースで開発されていました。
Linuxの特徴はとにかく軽くすることができる点です。windows10はそこそこの性能のパソコン環境がないと重くて動作しないという大きなデメリットがある一方で、Linuxは軽くしようと思えば、15年前のシステムでも問題なくで動くというメリットが存在します。クロームOSもこの利点を引き継いでいるので、低性能なパソコンでもサクサク動くというのはそういうことです。
また、クロームOSがただのLinuxと違う点はGoogleがカスタムしているためGoogleのサービスと高い親和性を持っています。同じくLinuxベースでGoogleが作ったアンドロイドのアプリをパソコンでも実行できるうえ、Googleのアプリがプリインストールされているので、従来のLinuxよりも初心者がたいぶ扱いやすい代物になっています。もちろん、Linuxのアプリケーションも機能します。
あとはセキュリティーが強固といううたい文句もありますが、正直最近のOSはwindowsにしろMacにしろそれなりにセキュリティーはしっかりしていますので、そこらへんはそこまで明確にメリットととして取り上げるポイントではないと思います。
ここまではクロームOSについて解説をしましたが、ここからはクロームブック自体の特徴について紹介をしたいと思います。
クロームブックの最大の特徴は値段が安いです。尋常じゃないくらい値段が安く、2万円台から新品のPCも販売されています。
これはwindowsと違って、低性能のCPUでもある程度は動く環境ですので容赦ないコストカットが行えるという利点がから来ています。また、Googleはグーグルドライブを使うからローカルのストレージは少なくてもいいとう発想を持っているのでかなりストレージが少ないという特徴もあります。windowsならどんなに少なくとも100GBくらいはストレージがあるイメージですが、クロームブックでは32GBしかストレージがないPCも平気で存在します。
欠点としては、officeが使えません。googleのofficeっぽいソフトは使えますが、microsoft officeを利用することはできないので注意をしましょう。その他、windows用に設計されたアプリが使えない場合もあります。
また、クロームブックになっているようなPCはwindowsもろくに動かないようなスペックであり、基本的にPCのスペックがかなり低いので動画編集などの重い作業は基本的には無理です。
また、クロームブックはGoogleのサービスを使用していることが前提なので使いこなすには、インターネット環境が必要です。さらにPCとして使うのにもGoogleのアカウント登録が必要になってくるので、Googleのアカウントを登録したくないという方は推奨できないです。
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感想
M1チップセットの高効率コアと高性能コアのハイブリッドは12世代のcoreプロセッサーでインテルが行おうとしていたりと、今最も熱い技術の一つでもあります。
これら技術の多くはスマートフォンからの技術であり、このような例はノート用のP6アーキテクチャーを流用して作ったcoreプロセッサーにも類似している点があります。ノートパソコンやスマートフォンは性能よりも効率が需要であり、これら機器では最高峰の電力効率性を問われます。それら効率性を維持して電力制限を取っ払ったものがデスクトップ用として流用されます。
もしかしたら、パソコンの未来を握っているのはスマートフォンかもしれません。