HDDの買い方

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 今回は前回のSSDの買い方に引き続き、ストレージを担うもう一つのパーツであるHDDの買い方、スペックの見方について紹介する記事を書きたいと思います。

HDDとは

 HDD(ハードディスクドライブ)とはPCではSSD(ソリッドステートドライブ)とともにデータを保存する機能をもつストレージの機能を担っているパーツです。

 SSDよりもPC用ストレージとして使用されていた歴史が長く、古くはメインフレームのストレージとして開発されました。また、そもそもハードディスクという名前は柔らかい磁気ディスクだったフロッピーディスクとの対比でありこのことからも長年使用されていた歴史がわかると思います。

 しかし、昨今ではSSDの高性能化、価格の低下、信頼性の向上によりストレージの王様として君臨してきたHDDもSSDにどんどん移り変わっている過渡期です。そのため、最近ではHDDの人気はどんどん低下していますが、それでもいまだ現役であることには変わりなくまたSSDにはないメリットも存在します。

HDDの利点

 
 HDDの利点についてここからは紹介したいと思います。なおこの情報は2022年3月現在の情報です。 

1.データ量あたりの価格が圧倒的に安い

 これが現在もHDDを使う最大のメリットであるといえるでしょう。

 昨今はSSDの価格がどんどん低下していますが、それでも6TB以上はHDDのコスパが圧倒的であり、10TB以上ではSSDはとても一般人のポケットマネーでは用意できない金額です。しかし、HDDでは18TBのものでも5万円程度で購入できるものも存在するので、大容量でのHDDのコスパは圧倒的です。

 したがって、数TB以上の大容量のデータを保存したい場合はSSDではなくHDDを選択肢に入れるべきでしょう。(もっとも複数バックアップは基本的に行うべき)

2.1つあたりの記憶容量が大きい

 これも1と似た理由ですが、HDDではSSDに比べると1つあたりの記憶容量が大きいのも利点の一つと言えます。

 最も3.5インチHDDとM.2のSSDでは大きさが異なり、体積当たりで考えるならばSSDのほうが記憶容量が大きいこともあるような気もしますが、接続端子あたりで考えるとさすがに民生用ではHDDのほうが1つ当たりの記憶容量が大きいと思います。

 例として民生用の2.5インチSSDでは1つで8TBのものがありますが、HDDでは1つで20TBのものもあるので一般的なマザーボードのsataポートの数である6本から考えると、一つのパソコンに搭載できるデータ容量では72TBも違います。大きいデータを保管する保管庫を作りたい場合はいまだHDDは現役といえるでしょう。

3.データ復旧のノウハウが多い

 SSDもHDDもいずれは壊れるのですが、HDDの場合は長年ストレージとして使われ続けたこともありデータ復旧サービスのノウハウがある程度蓄積されているので、データ復旧の可能性が比較的高いといわれています。

 しかし、SSDはストレージとしては日が浅くまたデータ復旧そもそもの難易度がHDDに比べると高いことからデータ復旧が難しいとされています。

 もちろんこのようなことがないように、バックアップを取っておくというのが基本なのですが、最悪の場合の手段が使えない可能性のあるSSDに比べるとHDDはこの点においてはメリットがあるといえるでしょう。

4.SSDに比べると電気的な影響に強い

 SSDは半導体ですので電気的な影響に弱いですが、一方でHDDも熱や衝撃に弱いのでこの点に関してはトレードオフの関係であるといえるでしょう。

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HDDの弱点

 ここからはHDDの弱点について紹介をしていきます。

1.ランダムアクセス性能がとにかく低い

 HDDの最大の弱点ですが、SSDに比べるとHDDはランダムアクセス性能がとにかく低いです。

 ランダムアクセスというのは、記憶装置が記憶媒体にアクセスするときに様々な位置からデータの読み書きを行うことなのですが、SSDは電気的に半導体にアクセスするだけなのでランダムアクセスがそこまで苦手ではないですが、物理的に円盤を回して情報を読み取るHDDではこのランダムアクセスとの相性が非常に悪いです。

 最近ではこのランダムアクセスが多用されているので、円盤を回して情報を読み取る必要があるHDDではランダムアクセス性能の向上には限界があり、速度に関しては今以上に高速になることはないといえるでしょう。また、ランダムアクセス性能の低さはOSの立ち上げやプログラムの立ち上げが遅い理由にもなっています。

2.衝撃に弱い

 HDDは衝撃に弱いです。ぶっちゃけSSDの電気的な影響に弱いよりもこっちのほうが質が悪いと思います。

 というのもHDDはディスク本体がHDDの内部に何枚かありその間にディスクの情報を読み取るヘッド(レコードの針のようなもの)が入ってるという構造なのですが、このヘッドとディスクの間の隙間が極めて小さいため、強めの振動などですぐに干渉、接触していしまい傷つきます。そのため、HDDは大変衝撃に弱いです。

 ディスク本体が傷つくと当然読み取り不良、最悪完全に壊れてしまうので振動はHDDにとって最大の敵といえるしょう。そのため、最近では持ち運びなどで振動が多いノートパソコンを中心に本格的にHDDからSSDへの移行が進んでいます。

3.振動する

 SSDとHDDの違いとしては稼働部位があるかないかも大きいです。HDDはディスクをモーターで回転させてデータを読み取るのでどうしても物理的な稼働部位が存在します。 

 一方でSSDのデータのやり取りは電気的な処理を行うだけなので物理的な稼働部位が存在しません。したがって、SSDに振動および静穏性で勝つことはできないといえるでしょう。

 そのため、静穏PCを作りたい場合はあまりHDDを採用するのは適してない用途といえるでしょう。

4.重量がある

 HDDはSSDと異なり稼働部位が存在するため振動しますが、その振動を抑える必要もあり頑丈に作る必要があります。そのため2.5インチSSDよりも体積が大きい3.5インチHDDは明らかに重いですが、2.5インチHDDも2.5インチSSDに比べるとかなり重いです。これに関しては、デスクトップPCではあまり関係のないデメリットですがノートPCではやはりSSDにシフトする大きな理由であるといえるでしょう。

HDDのおススメ使用法

 上記でSSDと比較したHDDのメリット、デメリットを挙げましたが基本的にHDDはPC用途ではサブのストレージとして使うのが都合がよいといえるでしょう。

 逆に言うとCドライブなどメインのストレージとして使うとOSの起動などが遅くなるなど、目に見えてPCの使用感が悪くなるので基本的にはCドライブにはSSDを使用するようにしましょう。下手にCPUを換装するよりも遥かに性能の向上を実感します。

 また、HDDは外付けストレージやNAS目的に利用するのにも便利です。外付けストレージはたとえ内部で高速でデータのやり取りができても接続するケーブルによって性能が決まるので、低速でも問題がないからです。NASというのはNetwork Attached Storageの略称であり、簡易的に言うと無線で接続することができるストレージです。こちらも内部のストレージ部品が高速でも通信規格によって性能が決まるのであまり高速なストレージはなくても問題はないと思います。さらに、これらの用途はより多くの記憶容量が必要なのでそういった面でもHDDの使用が適しています。

NAS

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HDDスペックの見方

 ここからはHDDのスペックの見方について紹介していきたいと思います。なおわかりやすい容量については、必要な容量を選べばいいだけなのでここでは省略したいと思います。

1.CMR SMR

  CMRとSMRはHDDの記録方式です。以前からあったのはCMR方式で、SMR方式は最近生まれた記録方式です。

 少々というかだいぶわかりにくいかもしれませんが、CMRとSMRの方式についての概念図を用意しました。従来のCMR方式はわかりやすく、それぞれのブロックに区切ってデータを入れていくのでその部分を読み取ることで情報を読み取るという比較的わかりやすい構造です。

 しかし、SMR方式ではHDDを同じ体積でより情報を詰め込む必要がるので情報のブロックを少しずつ重ね合わせて情報を記録するので従来よりも記録密度を高めることができます。ちなみにSMR方式は瓦のように情報を記録することから別名瓦記録方式とも呼ばれています。

 一見するとSMRはたくさん情報を詰め込めていい方法だと思いますが、SMR方式はCMR方式と比べてデメリットもメリット以上に多くあり、重ね合わせた部分を取り外す必要がありただでさえもランダムアクセスが遅いHDDでより情報のアクセスが遅くなる、そもそもCMRより複雑すぎて壊れやすい、これらの理由によりRAIDには非推奨といったデメリットが存在するため基本的にCMR方式のほうが有利と言えます。

 逆にSMRの有利点は多少CMRよりも安いくらいなので、できるならばCMR方式のHDDを買いましょう。とはいっても最近は一目ではCMR、SMRを見分ける方法は難しいので欲しい型番のHDDにCMR、SMRと検索して探すのが良いと思います。

2.回転数 RPM

 ハードディスクは回転しているディスクをヘッドが読み取る機構なのですが、ディスクの回転数がHDDによって違っており、回転数が速ければ速いほどデータの読み取りが速いです。またHDDの回転数表記は一分間あたりに何回回転するかを表すRPMという表記で表すことが多いです。

 現在は一般的には5400RPMと7200RPMのタイプが一般的に販売されています。基本的には7200RPMのほうがデータのやり取りが高速ですが、その分高くなる場合が多いのと騒音、熱、消費電力が5400RPMのものよりも大きいというデメリットも存在します。さらに7200RPMのほうが故障がしやすいので、長時間稼働し、そこまでデータをやりとりしない保管庫のような使い方の場合は高速な7200RPMタイプよりも5400RPMの低速タイプのほうが都合がいいこともあります。

 現在HDDは、高速アクセスが求められる作業スペースというよりも、必要な時たまに取り出すデータの保管庫としての役割が中心ですのでそういう意味では低消費電力、低発熱、低騒音、故障率が低い5400RPMのタイプのHDDのほうが適していると思います。

3.キャッシュ量

 HDDにはキャッシュメモリと呼ばれるパーツが存在します。キャッシュメモリは一時的にデータを保持するパーツで、これがあることによってHDDの遅さをある程度カバーすることができます。これの容量を超すようなデータを扱う場合ある程度、データ転送の速度がおそくなります。

 キャッシュ容量が多ければ多いほどある程度快適にHDDを使うことができますが、しょせんは付け焼刃でありSSDと比べると圧倒的に速度の差は生まれます。一応高級ラインのHDDではキャッシュ容量が廉価グレードに比べるとそれなりに増量されていますが、本当に速度重視ならばSSDを選ぶべきでしょう。

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個人的おすすめ商品

WD blue WD80EAZZ

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 増設用ストレージの定番品、迷ったらコレと呼べる商品です。

 WDの一般グレードblueではもはや貴重となったCMR方式の3.5インチ8TBHDDです。blueでは6TBモデルは型番は似ていますが、SMRなのでそこに関しては注意をしましょう。コストパフォーマンスも故障率の低いWDの製品の中でも良く、さらにCMRのHDD全般と比べても単位当たりのコスパが良いのでPC用のサブストレージ増設にはぴったりな商品です。

WD Red Plus 6TB LHD-WD60EFZX

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 WDのNAS向けの高耐久を売りにしたモデルなのですが、WD redでは肝心のNASに向かないSMR方式を採用してしまったことで、多くのひんしゅくをかいました。一方でWD red plusは従来のCMR方式を採用しており、ある意味こちらが本来のWD redの立ち位置になったといえるでしょう。

 少々高めですがNASを組みたい方、特にRAIDでNASを組みたい方にはWD redよりもWD red plusシリーズをおススメします。

東芝のCMRのHDD

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 東芝のCMR方式のHDDも故障率が低いのでおススメできます。細かいルールはありますが基本的に型番にDTと書いてあるものはSMR方式のHDDです。基本的には上のWDblueの8TBモデルで問題はないと思いますが、WDの場合は廉価モデルのblueのラインナップが存在せず、高級ラインの製品しか存在しないため10TB以上のHDDに関していえばコスパが悪いです。

 一方で東芝のHDDは低容量も高容量もそこまでデータ量当たりの金額が変わらないので、もしも10TB以上(できるなら14TB以上の)HDDが欲しい場合は東芝のCMR方式のHDDを選ぶとコスパが良いでしょう。

WD Ultrastarシリーズ

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 WDの一般向けの最上位はこれまではGoldシリーズですが、最近生まれたWDのHDDの最上位ブランドがUltrastarシリーズです。なぜこんな商品が生まれたかというと、実はこの製品はWD純正ではなく買収した日立製であり日立製の高品質なHDDをブラッシュアップして作られたHDDがこのシリーズであり、純粋なWDの血統ではなかったからこそWD伝統のカラー分けでのラインナップではなかったことが推測できます。

 一言でいうなら、全部入り高信頼性のサーバー向けのHDDシリーズです。高信頼性を担保するために、当たり前ですがCMR方式ですし、回転数も7200RPMタイプと高回転であり、さらにキャッシュ容量も最低256MB、多いモデルだと512MBと他の製品を圧倒した量が搭載されています。

 平均故障間隔も他の製品と比べるとかなり長く、それだけ質の良いHDDなのですがサーバー向けなので音がうるさいのとあくまでもプロ向け製品といったカテゴリーなのでどうしても廉価帯のHDDと比べると価格が高めです。

HDDの今後の展望

 HDDは徐々にSSDに押されつつあり、SSDの容量もいよいよ1TBが比較的安価に購入できるようになってしまったため、もしかしたらこれからPCでHDDを見る機会が無くなるのかもしれません。しかし、10TB以上では大容量を低価格というHDDの武器がしっかりと印象付けられていますし、東芝では30TBモデルを開発しているといううわさもあるので、今後も大容量のHDDさえ登場すればHDDとSSDの共存はできるのではないでしょうか?

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