RYZEN 7 5800X3Dについて


 今回は4月20日に発売がされるRYZEN 5800X3Dについての解説及び、どんな人が買うのがいいのかという個人的な考察をしたいと思います。

RYZEN 7 5800X3Dとは?

 RYZEN7 5800X3Dはzen3世代のCPUです。TSMCの7nmプロセスで製造されており現状はintel第十二世代のcoreシリーズの次にIPCが高く、高性能なCPUといえるでしょう。またこの十二世代シリーズが登場するまで性能ではzen3のCPUがintelのCPUの性能を上回っていた時代が続いていました。

 しかし、十二世代が登場し性能でも価格でも競争力をつけたintelのCPUが猛烈な勢いで追い上げており、AMDとしても何かしら対策をする必要が出てきました。価格面ではこれまで高価格帯の製品しかなかったzen3世代に新たに既製品のダウンクロック、低消費電力を行い差別化したRYZEN5 5500、RYZEN5 5600、RYZEN7 5700Xという三つの製品を出すことで対抗することとなりました。

 一方で、性能面である種の対抗として出したのがこのRYZEN7 5800X3Dと言えます。このCPUは今までのRYZENとも違う特徴的な構造が存在します。

 PCパーツの一つであるCPUの中にも計算自体を行うコアとさらにCPUの中に内蔵されているメモリであるキャッシュが存在します。このキャッシュは頻繁に情報をやり取りする部品であり、不揮発性メモリであるSSDはもちろん揮発性メモリであるDRAMと比べても遥かに高速です。

 今回のこの5800X3Dではこれまでキャッシュが単層構造だったのを、3Dという名前どおり上に積み上げた構造を取り大幅にキャッシュの量を増加させたCPUとなっております。これにより通常のRYZEN7 5800XのL3キャッシュ量の32MBの三倍である96MBものキャッシュ量を詰め込むことに成功しました。

(L1、L2キャッシュに関しては量は変わらない)

 一方で、L3キャッシュの量を3倍に増やした代わりにCPUのオーバークロックにはどうしても制限をかける必要が出てきたのか、最大ブーストクロックが改造元である5800Xの4.6Ghzから4.5Ghzにダウンクロックされており、さらに型番にXつきなのにもかかわらずOCも封印されてしまったため、この点に関しては不満に思う人も多いかもしれません。しかし、一般層にしてみるとそこまで高いクロックを求めていなかったり、OCに興味がない人も一定数いるのでこれに関しては賛否両論程度に考えるのが良いでしょう。

5800X3D performance chart
https://www.amd.com/system/files/2022-01/1131643-5800X3D_Perf_Slide-1920wide.jpg

 またキャッシュを増やした効果はゲームにも表れており、ゲームでもフレームレートの向上におおきく貢献していることがわかります。ゲームは高画質(WQHD、4K)になるほどCPUのボトルネックは起こりずらいですが、ひたすらハイフレームレートを目指そうとするとCPUのボトルネックは大きな問題になり、特に360fpsでゲームをやりたいような方に関してはGPUだけが高性能でもCPU側もかなり選ばないとそのようなゲームプレイは実現できません。そのような方にとってこのCPUは一つの選択肢となるのではないでしょうか?

AMDにとってこの商品

 おそらくAMDにとって、この商品は本命ではないでしょう。本命は当たり前ですがこの後にあるzen4でありソケットもAM4からAM5に変更し、製造プロセスに関しても最先端ではなくなりつつあるTSMC7nmからさらに新しい技術であるTSMCの5nmへシフトすることで大幅な性能向上を期待できます。

 はっきり言ってキャッシュを増やして性能向上というのは付け焼刃のような処置であり、こんなことが通用するほど製造プロセスをブラッシュアップし、大幅な設計変更を行い性能を向上させてきたintelのCPUが競争相手としてしょぼくないことくらいはAMDも理解していると思います。

 ただ、そんな中でもどうしてこんな商品を販売しようと思ったかについては主に2つの理由があると個人的には考察できます。

 一つはこの技術を採用した世界初のプロセッサーになるからです。現状のこの3Dキャッシュ技術は大したことがないのかもしれませんが、世界初という触れ込み文句があれば付け焼刃でも知名度を上げることができ、intelに注目が向きがちな大衆の目を再びAMDにも振り向かせることができる可能性があるからです。

 二つ目はこの技術の試金石としてこの製品を作ったという理由です。この技術を活用すれば、小さく作ったチップを積み重ねることによりCPUが製造できるようになるため、性能向上のために肥大化しがちなダイ(基盤にパターンを焼き付けたもの)のサイズを小さくすることも将来的には可能になり、そうなれば歩留まりの向上が見込め全体としてコストを下げることができるという可能性があります。そこまで見込んだ技術開発ならばこのような中途半端な製品として出ても問題がないと思います。

ダイサイズを小さくしたい理由

この商品は買いか?

 この商品は米国価格で449米ドルです。最初に5800Xが登場したときも449.99ドルだったので、5800Xの時と同じくおそらく日本で買える金額は安くて5万円台後半、高くて6万円くらいだと思います。

 この商品は所詮は5800Xにキャッシュを足しただけでありそのほかに関してはほぼ何も変えてない商品なので、この商品のためだけにRYZEN環境一式を集めるのはかなりコスパが悪いと思います。

 この商品がおススメできる人はそもそもzen初代やzen+世代の製品を持っていて流用できるマザーボードがあるのならば、既存マザーボードの延命として使えないこともないかなという気もします。しかし、この場合でもおそらくこの製品の登場で値段が下がる5800Xや当時に登場するRYZEN7 5700を購入したほうがまだマシな気がします。

 個人的には、この製品に関しては現状あまり買うメリットがないと思います。CPUはあまり値段が乱高下しないため、現状はintelのCPUやAMD環境がある場合はこの商品以外のRYZENを購入するのがおススメです。

最後に

 今のPC向けCPUはintelとAMDの間でバチバチに争っているおかげでコスパの良いCPUが購入できる環境にあります。どちらも倒れないくらいに争ってくれるのが最も消費者にとって利益を得ている状態といえるでしょう。


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