日本でPump it Upがヒットしなかった理由

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 今回は厳しめのことを書くので、そのようなことが嫌いな方はブラウザバック推奨です。 

 Pump it Upは曲やシステムなどは音楽ゲームの中でも特に完成度が高いと思いますし、個人的にもとても面白いゲームだと思ってプレイしています。PIUをやっている多くのプレイヤーも面白いと思っているゲームなので、ほかの音楽ゲームと比べて楽しさでは引けを取らないと思います。

 しかし、日本にPIUが入ってきて一時は全国に置かれていたのにも関わらず、現在日本ではごく少数のゲームセンターのみで稼働しているのも事実です。そのような事実を踏まえたうえで、今回は日本のPump it Upがヒットしなかった理由を考察していきたいと思います。

Pump it Up概要

 Pump it Upは韓国のゲームメーカーである、アンダミロ者の音楽ゲームです。Dance Dance Revolutionと同じく足を使って遊ぶタイプのゲームで、略称としてPIUと呼ばれています。海外ではDDR以上の人気が存在し、ゲームセンターではポピュラーな存在となっています。海外では個人所有も認められており、PIU筐体を買って実況をしているyoutuberの存在も確認できます。

 日本ではSEGAが代理店となり、前から稼働していた一部の店舗を除いたゲームセンターで2015年の6月24日からPump it Up PRIME JAPANESE EDITIONとして全国でサービスを開始しました。

なぜPIUは日本でヒットできなかったか

 いくつかの要因があるので想定される理由を考えていきたいと思います。

1 DDRのパクリだと思われたから

 これが正直言って一番の理由だと思います。PIUがDDRからインスピレーションを受けて作られたのは間違いないですし、この件ではKONAMIとアンダミロで訴訟をおこない最終的には和解という形で収まったこともあり、このことに関してはある程度意識せざるを得ないと言えるでしょう。

 音楽ゲームをある程度やっているプレイヤーならともかく、足で踏むゲームをDDRしか知らないAC音ゲー未経験者、初心者を考えると、なんかパネルが5つある変なゲームがあるレベルに思われるのが関の山です。

 パクリや似ているものに厳しい人もいるので、そのような方は見たら興味を持つどころかかえって悪評を広めてしまうかもしれません。実際2015年の私はDDRの模造品だと思ってしまって、興味を持たなかったので今になって後悔をしています。(2015年はまだ踏みゲーには手を出していなかったが)

2 2015年に売り出してしまった

 2つ目にあげられるポイントは2015年に登場してしまったことです。日本版となるJAPANESE EDITIONは2015年に登場しましたが、この年は数多くの音楽ゲームのリリースが重なったことにより、例年にも増して激戦となってしまいました。

 この時バッティングした機種は、crossbeats REV.、MUSECA、シンクロニカ、そして2015年の勝者となり、リリース以降AC音楽ゲーム界に多大な影響を及ぼしづけるようになった機種であるチュウニズムと強者ばかりでした。

 2015年の機種は、勝者となったチュウニズム以外はオンラインサービスを停止し、現在でも一部店舗ではオフラインで稼働してはいますが、チュウニズムに人気を食われてしまった感は否めないでです。PIUもこの争いに巻き込まれてしまいました。

 さらには勝者となったチュウニズムは、SEGAの機種でありPIU日本の代理店であったSEGAとバッティングをしてしまうというという不運にも見舞われました。

 SEGA的にも代理店とはいえ、自社のゲームをそっちのけで他社の海外製ゲームを宣伝するわけにもいかないため、PIUに対して正直効果的な宣伝はほとんど打っていなかったと思います。これは、イロドリミドリなど様々な宣伝、プロジェクトを企画したチュウニズムや、SEGAの第三の音ゲーであるオンゲキと比べると明らかに熱の入れ方が違うことが分かります。

3 そもそも誰向けのゲームであったか

 そもそもPump it Upの売り出し方自身が間違った説があります。現在日本でPIUは、DDRのエンスージアストの一部がプレイするような感じで、ある程度の音ゲー熟練者がプレイするゲームという位置づけになっていますが、当初は初心者から上級者まで幅広い客層を取り入れようとする作戦でした。

 しかし、これは少し考えるとすぐに破綻してしまう作戦であることに気づきます。日本ではすでにさまざまなゲームがあり、それぞれ既存のゲームと競合しないように初心者から上級者それぞれの客層ごとをターゲットに絞ったマーケティングがされており、どの層にも絞らないというのはどっちつかずで幅広い客層を狙うという作戦はあまり効果的ではないと言えます。

 また、このころになるとより簡単に遊べ、アーケードに比べると障壁の少ないスマホでの音楽ゲームが流行りだしてくる頃ですので、初心者を狙うという作戦もだんだんと難しくなっていきます。

 一方で、上級者向けの音楽ゲームを作ろうとするとこれもまた厳しいです。上級者は基本的に自分の好きなゲームを極めていますので、そのゲーム以上の面白さや魅力が無いと振りむいてさえももらえないです。

 そして唯一期待できそうな、同じ踏みゲーであるDDRの人口も当時はRdiで多少人口が戻ってきたような時期であり、暗黒期から抜け出したという感じですので流入人口もあまり多くは見込めませんでした。

 こう書いてしまうと、PIUを日本で売り出すのは無理じゃないのかともいわれそうですが、もしも初めから初心者を切り捨ててmaimaiや太鼓の達人で鍛えられた上級者を取り込む作戦を行い、SEGAブランドとして初の超高難度志向音楽ゲームとして売り出せば今よりももう少しは、営業台数が多くなったのではないかとも思います。

4 遊び方が初心者には理解しにくい

 3に記述したことに追加で、Pump it Upを完全に遊びきるためには初心者ではかなり厳しいことが挙げられます。

 このゲームではベーシックモードとフルモードというモードがありますが、基本的に継続して遊ぶのであればフルモードで遊ばないといけません。ベーシックモードではPIUのオリジナル楽曲やPIU特有のコンテンツ、解禁要素で遊ぶことができないからです。

 しかし、フルモードに移行するためのコマンドは初心者では押すのが難しく、またそれを使わなくてもプレイできるUSBのプレイヤーデータの作成もallnetのサ終までほとんどの人は気づかなかったと思います。そのため、仮に貴重な新規プレイヤーがプレイしても初心者用のベーシックモードだけやって、面白くないと思って辞めてしまうという人も少なくなかったと思います。

 正直PIUはフルモードで遊ばないとDDRとの明確な違いを認識しにくいので、初心者用として用意したモードが仇となっている感は否めないです…

 そのため、COOPやUCSなどの魅力に多くの人が気付かないまま台数が少なくなってしまったのはとても残念です。

Pump it Upのこれからは

 さんざんPump it Upについての批判をしてしまいましたが、私としてはこのゲームはとても面白いゲームだと思いますし、機会と楽しい遊び方さえわかればより多くのプレイヤーが生まれてもおかしくないゲームだと思います。

 私としては、これから先日本のPIUの筐体が0になるということは無いと思います。全国展開こそは失敗したものの、まだ十台ほどは稼働しているうえ、最新verのXXも日本で4台稼働しています。 また、台数が少なくなったことで、ニッチな市場を開拓し独特なポジションを獲得したため特にXXverが置かれている店舗では日本に散らばっていたプレイヤーが集結し、多くのプレイヤーがプレイしています。私のホームであるジャムジャムつくば店でも大人気機種となっているため、今PIUを導入しているゲームセンターが手放すとは思えないです。また、PIU初出の楽曲がスマホゲームのアーケアに収録されるなどPIU自身の知名度も一般向けに確実に向上しています。

 根強い少数のファンが小数のゲーセンでプレイせざる状態にはなってしまいましたが、PIU自身は今後も日本に残り続けると思います。基本的には台数は変わらないかある程度まで減っていくとは思いますが、もしもプレイヤー人数が何かの拍子で増えたら、少数ですが在庫もあるので日本で稼働する新しい筐体が増えるかもしれません。そうなることを私は望みます。

See also  DDRのボス曲の歴史 Supernova~nova2
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