マザーボードの選び方

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 今回はマザーボードについての選び方を解説したいと思います。マザーボードはパソコンのスペックを確かに決めるものですが、CPUやGPU、メモリなどのスペックに直結する部品に比べると高いものを採用しても直にスペックの向上は果たせませんし、かといってケースのように見栄えだけで選ぶようなものでもないので地味にマザーボードの選び方については悩んでいる方も多いと思います。今回はパソコン初心者でも基礎的な選び方が理解できるように解説をしたいと思います。

1ソケットを確認

 マザーボード選びの最重要事項です。ほかの項目がどうであれ、これだけはパソコンを買う人は絶対に確認をしてください。

 パソコンの基盤であるマザーボードと計算の心臓部であるCPUとはソケットという部品で接続されています。そのため、ソケットがCPUと物理的に合っていない場合CPUとマザーボードと接続ができないため、ここだけはパソコンのスペックに興味のない人でも絶対に確認しましょう。

 intelとAMDのCPUはそもそも取り付け方も異なっており、intelではマザーボード側にピンが、AMDのメインストリーム向けのCPUではCPU側にピンが存在しています。

 AMDの一部特殊なCPUではintel用と同じつけ方であったり、ノート用のintel用のCPUではRYZEN用の付け方と同じ場合がありますがここでは省略します。

 また、同じ会社でも世代によってソケットの大きさが異なる場合があり、同じ会社なら永久にそのマザーボードでCPUが使いまわせるわけではありません。現在の主流はintelではメインストリーム向けのLGA1200、ハイエンド用のcore-XシリーズのみのLGA2066、AMDはメインストリーム向けのAM4、ハイエンドのみRYZEN threadripper用のsTRX4ソケットの4つです。基本的にはメインストリーム向けを使うということで差支えはありません。

 BTOの場合CPUとマザーボードのソケットが違っているということは絶対にありませんが、BTOパソコンを改造する際にはソケットがあったCPUを採用しないといけないので注意をしましょう。

 また、ソケットがあっていても後述のチップセットが対応していない場合パソコンが動かない場合もありますのでチップセットの確認も重要です。

2チップセットの確認

 チップセットとは、マザーボードとCPUや周辺機器と橋渡しをするためのパーツで、簡潔に言うとマザーボードのスペックを決めるパーツです。

 重要な点ですがチップセットにCPUが対応していない場合、たとえCPUとマザーボードのソケットの物理的な接続ができた場合でもパソコンを起動させることはできないので注意しましょう。

 ソケット、チップセットまではパソコンを買う人ならできれば必ず確認してほしい項目です。特に最近はチップセットの対応CPUが二世代くらいしかないものもあり、マザーボードを何世代にもわたって使いまわせない場合もあるので注意しましょう。心配な場合は買いたいマザーボードのホームページに行くと調べることもできます。

 マザーボードはいろいろな会社がいろいろな価格帯で販売していますが、マザーボード機能としては基本的にはチップセットの規格以上のスペックにはなりません。

 ハイエンドのチップセットでは多くの拡張性がある一方で、ローエンドのチップセットではOCなどの豪華機能は存在しないのはもちろん、PCIEレーン自体もm.2SSDを使うと足りない場合もあるので拡張性に乏しいです。

 上記のほうは現在の主なチップセットです。上に記載されているのほうがハイエンドのものになります。LGA2000系とsTR4はウルトラハイエンドCPUのみの対応ですので、基本的にはintel用、AMD用と書かれているものを参考にしてください。

3フェーズ数の確認

 上記の2つの項目は全員の必須確認事項ですが、ここから先はこだわりがある方向けOCに興味がある方向けになりますので、動くPCが欲しい、BTOの再改造をしたいという方は心配しなくても大丈夫です。

 フェーズ数とは、マザーボードについているVRMの個数のことです。

https://www.ark-pc.co.jp/news/article?id=3001978

 上記の写真では、CPUソケットの隣にある黒い箱のようなパーツがVRMであり、この場合VRMの個数は5つとなります。画像のマザーボードは廉価品であるためフェーズ数も少なく、VRMを冷やすためのヒートシンクもついていないため数えやすいですが、ハイエンドモデルになるとVRMも冷やすためにごっついヒートシンクが搭載されていたり、VRMの個数自体も16個以上あるなど画像から数えるのも大変なので、ほしいマザーボードがある場合はその商品で検索をかけることをおすすめします。

 VRMの個数が多いとどういうメリットがあるかというと、最大の特徴は熱を抑えられます。特にOCをするとCPUに大電力を送る必要があるため、VRMに大きな負担がかかります。負担がかかった分だけ熱が発生してしまうため、最終的にはパソコン全体がオーバーヒートする恐れもあります。そのため、VRMのフェーズ数を増やすことにより1つのVRMにかかる負担を抑えられることができます。
 一方で、定格でしか使わないような人は基本的にはVRMのフェーズ数が多くなくても爆熱ということにはなりませんし、CPUの電力消費が低い場合はVRMの電力変換効率が悪化してしまう場合もあるので一概にVRMが多いことだけが正義ではありません。実際ASRockは小フェーズ構成を貫いているという例もあります。

 基本的にはハイエンドチップセットが搭載されているマザーボードはフェーズが10個以上あるものがほとんどですので、その世代のハイエンドCPUでも定格で運用するならまず問題はありません。最近はミドルエンドでもフェーズが10個以上ある場合もありますが、ローエンドだとフェーズが5個とか4個というかなり少ない場合もありますのでさすがにそのフェーズ数でハイエンドのCPUを動かすのは少々厳しいと思います。

 参考としては個人的に消費電力÷10が必要フェーズ数と考えております。

4 Dr.MOSかどうかの確認

 フェーズ数よりもさらに細かいことですが、VRMがDr.MOSかどうかを確認するのもこだわる人にとって見れば重要な点です。先ほどのフェーズ数が数だとした場合Dr.MOSはVRMの質を表すものといってよいでしょう。Dr.MOSのDrはドライバーを表す語なのらしいですが、なぜかドクターと呼ばれています。Dr.MOSでドクターモス読みです。

 Dr.MOSはこれまでは独立していたチップをまとめることにより電力の変換効率の向上と発熱を軽減させたものとなります。

https://ascii.jp/elem/000/001/891/1891580/

 Dr.MOSを採用することによりVRMの発熱がかなり軽減できるので、最近は各社そろって導入しています。実際私のPCのマザーボードもDr.MOSを採用したものですが、VRM温度は高くても50度程度をキープしていますので実力は本物です。OCをしたいならDr.MOS搭載マザーは優先して工法に選ぶべきでしょう。また、CPUクーラーを水冷にしたい場合VRMを冷やすのが難しいためこの場合も発熱の少ないDr.MOSにすると効果があると思います。

 Dr.MOSを搭載していることは基本的に各社ともセールスポイントなので、検索すればDr.MOS搭載モデルはすぐにわかります。最近のハイエンド帯のマザーではDr.MOS搭載は当たり前ですが、ミドル帯でも搭載モデルが登場しつつあります。さすがに発熱の少ないローエンド帯ではDr.MOS搭載モデルは皆無ですが、ミドル帯で決め手に欠けたときはDr.MOS搭載モデルをセレクトしておくのはいい選択だと思います。

5拡張性

 先ほどの2つよりもパソコン自体を使いたい人は重要かもしれません。マザーボードの拡張性は同じチップセットのモデルでも各社によって味付けが異なります。ゲーミングモデルの場合、オンボードサウンドの品質が高かったり、LANが2.5Gの速いものが搭載されている。クリエイターモデルなら、多くの接続機器が接続できるようにUSBの数が多いなど、味付けが大きく異なります。

 ここのところはマザーによって大きく異なりますので、詳細に調べることをおすすめします。

6BIOSフラッシュスイッチ

 いわゆる便利機能の一つです。最近のミドル帯以上のマザーだとこのBIOSフラッシュスイッチが搭載されている場合があります。

 BIOSを書き換える際はこれまでは、CPUをつけてからじゃないと書き換えることはできず、新型のCPUを使うためのBIOSに書き換える際であっても旧型のCPUを搭載してからでないと、BIOSが書き換えられないという欠点がありました。しかし、このBIOSフラッシュスイッチがあれば、BIOSの入ったUSBをさしてボタンを押すだけでCPUなしでBIOSを書き換えられるという優れものになっています。

 そのほかにもBIOS書き換え中に、電源を切ってしまった際に初期化もできるのでBIOS切り替え時のトラブルも防ぐことができます。

 これも一つのセールスポイントといえるでしょう。

結局どのマザーを買えばいいのか

 正直これは人によりけりです。高い値段のものはたいていすべてのことができますし、安い値段のものだと拡張性は察し状態です。また、マザーボードは競合が多いためある程度似通った性能にどうしてもなってしまいます。初心者の方はソケットとチップセットだけは確認したうえで周辺機器の接続面を考えるとわかりやすいと思います。また、ここでは書いていませんが光ることやビジュアル面を重要視するのも悪くない選択肢だと思います。

 マザーボードはある意味自作では一番ケチることのできるポイントですので、できる限りケチるのもいいですし、OCをするならある程度いいものを採用するのもよいでしょう。BTOの場合はマザーボードは廉価品を採用している場合が多いです。

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