PS5が買えない理由と品薄解消の予想

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 今回はPS5が買えない理由といつになったら品薄が解消されるかの予想を考察したいと思います。

転売

 PS5が買えない一番わかりやすい理由としては転売です。PS5は売れば簡単に数万円単位の利益を得ることができ、PS5の転売はTCGなどの商品と比べても前提知識やノウハウがほとんどいらないので転売を行う上で最も都合の良い商品です。 

 そのため、転売を行おうとしている人間は積極的にPS5を買い占めます。さらに、転売を行おうとしている人間は効率を高めるためbotやプログラムを組んで大量に注文を売って数を売って当てる戦法を取っています。そのため、正直に1台だけを注文している人が損をするような構図が出来上がっています。

 最近では正規販売店が独自の工夫をするなど、転売撲滅に向けた方向に進んではいますが根本的な解決策には至っておらずこれに関しては販売店の努力だけでは限界があると思います。

 そもそも、転売に関してはだれでも転売をしやすい市場を作ったメルカリ等に問題があり、販売手数料で間接的に転売の利益すら得ている彼らの責任が極めて重いと思います。転売の根本解決にはそもそもフリーマーケットアプリの規制が最も効果があると思います。

しかし、転売を行う人間のポケットマネーがそこまで多いとは想像できませんし、botを使っても転売を行う量にも限界があるので、PS5の買えない大きな原因の中でもこれは最も小さい原因であると私は思います。

日本市場の冷遇

 日本でPS5が買えない理由として、SIEの日本市場冷遇も挙げられます。PS5の世界累計販売台数は7月18日時点で1000万台を突破したのに対して、日本では9月9日に国内推定累計販売台数が100万台を突破したことが発表されています。このことから世界販売台数に比べると日本の販売台数は明らかに10分の1以下を下回る水準であると想定できます。

 日本は世界のゲーム市場が20兆円ある中で、2兆円ほどの市場であり、PS4でも日本では1000万台近くの売り上げなのに対して世界では1億1000万台ほどであり、日本で売るべきPS5の台数はおおよそ世界の販売台数の10分の1程度が妥当であるといえます。ですが、販売台数から推測すると明らかに日本での販売台数はその水準を大きく下回っているといえるでしょう。

 なぜPS5は日本生まれのゲームなのに、冷遇されるかという点に関しては北米の意見が重要視されるようになったというのと、日本市場に実質競合機がいないことが理由として考えられます。

 北米は世界最大のゲーム市場であり、北米市場のシェアはゲームの販売戦略に大きく影響を及ぼします。北米で売り上げを伸ばせば、単純にハード自体のシェアを伸ばせるだけでなく、北米の有力なサードパーティーを取り込めるため今世代のゲームハードの戦局を大きく左右します。

 そして北米を代表とした日本以外の国ではxboxやゲーミングPCが強力な競合となっています。これらのゲーム機はPS5とほぼ同じような機能と販売戦略を持っているので、PS5には強大な敵となっています。一方で日本では、xboxのシェアは皆無に等しく、ゲーミングPCのシェアもコロナ渦で上昇したとはいえコスパが劣悪であり、PCとPSの二台持ちという例も少なくはありません。つまり日本には同じような目的を持った競合機が一切いないため、市場をほぼ確実に取れる日本にわざわざリソースを割く必要はないといえるでしょう。

 また、日本現状のCSハードで最も勢いがあるのは任天堂switchの存在ですが、正直PS5の競合にはスペック的にも販売戦略的にも競合にはなりえないと思います。そもそもswitchが強いのは任天堂ソフトのラインナップの強さであり、PS5がどんなに性能が高くても任天堂のゲームソフトをプレイしたい人がそれらが一切ないPSを買う理由はほとんどありません。

 逆に任天堂のゲームに興味がない人で海外のAAA級ゲームをプレイしたいような人はPSを購入するなど両者の客層はほとんどかぶりがなく、どちらもやりたい場合でも二つのゲームは二台持ちも成立するため、競合関係はほとんどないと思います。

 しかし以上の理由でも、1年近くたてば市場の在庫は普段なら安定しますし、実際PS4も一年程度たつとさすがに購入しやすい状況ではありました。ですが、PS5は現状買いやすい状態になる未来が想像できないレベルの品薄です。次がPS5の在庫が復活しない最も大きな理由であるといえるでしょう。

世界的な半導体不足と半導体生産そのものリスク

 これが最大の理由だと思います。コロナ以降世界的な半導体不足に陥っていますが、より深く分析すると現在の半導体生産にはあまりにもウィークポイントが多いです。

 そもそもPS5に使うような最新鋭の半導体を作れる会社はTSMCとサムスンの2社です。PS5に使用する半導体はTSMCで生産を行っています。そして、世界的に人気なのはTSMCです。そしてTSMCはappleやクアルコムのような金を持ってるテック企業が優先して使うことができます。これら企業はSONY全社の勢力をもってしてもより巨大な企業であるため、SONYの一部門であるSIEのゲーム機の生産はどうしても後回しにされがちです。

 そして、当時はファーウェイの締め出しでファーウェイが2019年ごろから駆け込みでTSMCに大量に半導体を受注していたこと、5G特需でコロナ関係なしに優先度合いが高いaplle等の企業が5G用のモデム、SoCを生産していたことでそもそもTSMCの生産プロセスはカツカツであったことが想像できます。そこにコロナ特需ですので、完全に需要と供給のバランスが崩壊しました。

 そして工場を新設するにも最低でも2年以上はかかりますし、さらにPS4時代と比較しても半導体生産のリスクが上がっています。PS4は28nmから16nmプロセスを使って生産をしており、300nmウエハ一枚当たりの製造コストはおおよそ3000ドルほどでしたがPS5時代の7nmプロセスでは9000ドルほどに急激にコストが上昇しています。

 ここまで急激に製造コストが上がった理由としては次世代の露光装置が極めて高額であるという点と、その装置を作ることができる会社が一社しかないということが考えられます。改良されたTSMCの7nm以降のプロセスではEUVリソグラフィーという方法を使って生産をするのですが、その露光装置一台当たりの価格が100億円越えと極めて高額なものとなっております。そのため、ある程度まとまった投資をしようとなると数兆円単位の投資になってしまうため、コロナに至るまでどうしても大規模な工場の拡大ができなかった要因といえるでしょう。

 この装置は現在世界で一番高い機械とも言われており、さらにこの装置そのものを作れる会社もASML一社だけの独占となっており、現状この価格より安くなる見込みはありません。一社だけなのですぐに大量に量産できる体制もなく、そもそもこの装置を作る半導体すらないという事態に陥っているため、今回の半導体不足は一過性のものというにはあまりにも根が深く、半導体生産のリスクを無視し続けた行為の大きなしっぺ返しというほうが正しいです。

 そもそもEUVリソグラフィーは数年前までは、世界中で実現不可能とまで言われていた技術であり、当時一番技術が進歩していた日本勢が予算をある程度かけて真剣に開発をしてあきらめた代物ですので、当然ASML以外がこの先もすぐに技術を確立できるようなことは中国はもちろん米国ですら不可能に近いといえるでしょう。このような超技術を使わなければゲームができないということのほうが異常であるといえるかもしれません。

 そして、半導体生産だけでなく最近では半導体に使うシリコンウエハーそのものが足りなくなるなど、半導体不足は解消するばかりかさらに根深い問題になりつつあります。

PS5はいつ買えるか

 私の予想としては、2022年の4Q以降にはPS5の供給が十分にできるようになると思います。これはAMDのリサ・スーCEOも22年の下半期には半導体不足が解消するという予想を立てているため、業界内でもある程度は半導体不足を解消するめどが立ち始めたといえるでしょう。

 私が思う22年の下半期に解決するだろうという根拠としては、コロナ直後の2020年に行った設備増強の効果が出始めるだろう時期がおそらくこの時期であるだろうと考えられるのとコロナによる特需がある程度解消されるのもおそらくこの時期であるとにらんでいるからです。

 そもそもコロナ以前は、メモリが4GB以下でCPUがセレロンのような業務に使うのにはおおよそパソコンとは呼べないようなお粗末なPCでありとあらゆる業務が行われてきましたが、テレワークの強制によりスペックの低いゴミが一掃されある程度性能が良いPCへ世代が交代しました。このようなテレワーク強制により、半導体製造がパンクするほどの需要が生まれましたが、コロナ渦になってからある程度時間がたちパソコンの世代交代が済んだことと、コロナの流行にある程度陰りが見えたことから今後は法人向けPCの膨大な需要は一気に消滅すると思います。

 おそらくですが、半導体製造の投資とコロナ流行の陰りによる需要の消滅これが一気に起こるのが2022年の4Qであると私は思います。このころになればようやくPS5も店頭に並んで抽選をせずとも買うことができるようになるでしょう。

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